●天野研究室 若き研究者たちへインタビュー
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![]() 天野研究室のみなさん |
![]() 青色LEDで一躍脚光を浴びたGaNですが、その応用の可能性は発光素子に留まりません。パワーデバイスに使うことができれば、LED電球による7%の省電力に加えて、さらに10%近い省電力化が期待できます。日本に原子力発電所は現在48基ありますが、LEDとパワーデバイスの省電力効果は全発電能力の約半分にあたります。 本田先生、新田先生、出来先生の3人の新進気鋭の若手研究者は、いち早い社会実装に向けて、研究室のポスドクや学生とともに、日夜研究に取り組んでおります。情熱があって、とても楽しい人たちですので、是非3人の話を聞きに研究室においでください。 未来エレクトロニクス集積研究センター(CIRFE) センター長/教授 天野 浩(写真右上 前列左から3番目) |
----- 天野研究室って、どんな研究をしているんですか? ![]() ----- 幅広く研究されているということですが、研究室の体制を教えてください。 ![]() |
“柔軟な発想・のびやかな視点”で 課題に切り込む ![]() 准教授 本田 善央 〈HONDA Yoshio〉 ● 専門分野 / 電子・電気材料工学 ● 趣味 / 家庭団らん、酒、スキー |
“窒化物半導体の可能性”を さらに広げる研究に挑む ![]() 特任准教授 新田 州吾 〈NITTA Shugo〉 ● 専門分野 / 結晶成長、デバイス工学 ● 趣味 / 子育て、フットサル |
------ では、研究室の雰囲気はどうですか?![]() ------ 学生時代から名古屋大学に通い続けて22 年という本田先生。学生の頃は何の研究をされてたんですか? ![]() |
----- 新田先生は、企業で経験をつまれたそうですが、これまでのご苦労や研究室での役割りを教えてください。![]() ----- 「信頼性」を高める評価に取り組まれている出来先生。素子の材料の違いで効率が変わるんですね。 ![]() |
製品化に不可欠な “「信頼性」を高める評価”に取り組む ![]() 助教 出来 真斗 〈DEKI Manato〉 ● 専門分野 / 電子デバイス、電子材料工学 ● 趣味 / 将棋、グラ潰し |
![]() エミッション顕微鏡像。エミッション顕微鏡は、パワーデバイスの絶縁破壊メカニズム解明のキーとなる評価手法で、写真はGaNを用いた縦型PINダイオードの順方向バイアス印加時のエミッション像。発光している点は電流が集中していて、故障の要因となる欠陥の存在を示している。天野研では、これらの要因を解析し、材料とプロセスの両面から課題解決に挑んでいる。 |
![]() サファイア基板上にGaNの結晶を成膜したウエハ。焼き物師のごとく、出来映えを観察する。 |
![]() パワーデバイスの耐圧を測定する装置。電圧は1万ボルト、電流は500アンペアまで印加可能。 |
・窒化ガリウム(GaN)
GaN はGa(ガリウム)とN(窒素)の化合物で、ガリウムナイトライドとも呼ばれる。青色LED の材料として開発された。高い絶縁破壊電界強度や電子飽和速度を有することから、近年では電力変換をする際の低損失、高効率を実現できる、次世代省エネルギー化の救世主となるパワーデバイス材料として、研究が進められている。
・パワーデバイス
電気エネルギー=電力を発電、送電、消費する際の電圧・周波数変換やモーター制御などに用いられる半導体素子。用途は、発送電、変電所、ハイブリッド/ 電気自動車、電車、家電製品など多岐にわたる。
・シリコン
ケイ素(Si)単結晶材料のこと。パソコンやテレビ、スマートフォンなど、現在の生活を支えている多くの電化製品、あるいは交通や通信などの社会インフラに欠かせない存在であり、いわゆる「半導体」として広く知られる。
・SiC(シリコンカーバイド)
GaN と並んで、次世代パワー半導体として、この材料を活かす周辺技術開発が進められている。従来のSi デバイスと比較し、高耐圧で低損失な素子作製が可能となるため、SiC デバイスはモーター駆動などの高耐圧・大電流用途で有利。
文:IMaSS 広報委員会(坂本、小西)~『IMaSS NEWS Vol.01』特集より抜粋~![]() 天野研究室HP : http://www.semicond.nuee.nagoya-u.ac.jp/ 青色LED基金 : http://www.cirfekikin.imass.nagoya-u.ac.jp/ |